会頭挨拶

拝啓
この度、第12回日本小児診療多職種学会in山形の会頭を務めます竹中佐江子と申します。私は長年にわたり、作業療法士として、子どもたちの在宅リハビリをはじめとする地域支援に携わってまいりました。
日々お子さんの支援に携わられている専門職の皆様は、常に目の前の子どもに対し、「この支援は本当に最善なのか」と自問自答しながら、未来を見据えた支援に尽力していることと思います。しかし、どれほど医療が発展し、制度が整備されても、その支援が正しかったかどうかを教えてくれるのは、先輩や指導者ではなく、子どもたちの未来そのものです。このような思いから、本学会のテーマを「その子の小さな手に大きな未来を~子どもたちと共に創る社会へ~」と致しました。
本大会は、山形県で開催されます。私が所属するリニエグループでは、都市部だけでなく、東北や九州などの地方都市でもお子さんを対象とした多様なサービスを提供しています。その過程で、地域によって子どもを取り巻く環境や課題が大きく異なることを実感しています。支援が必要な子どもたちを取り巻く環境は、時代と共に変化し、医療、福祉、教育制度の見直しも進んでいますが、制度の狭間で支援が届きにくい子どもたちも存在します。
こうした背景から、地域特性に応じた支援が必要であり、地域の課題を地域の支援者が共有し、強固なネットワークを築くことが重要だと感じています。そして、多職種や事業者、行政が協働し、子どもたちに最適な支援を提供する力を高めていくことが、今の時代に求められる課題ではないでしょうか。本学会が、さまざまな支援者が子どもを中心にチームとして支える場となり、多職種の専門性を理解し合い、未来に向けた支援の在り方を共に考える機会になれば幸いです。
最後に、多職種と共に課題を共有し、学び、解決していくために本学会を創り上げてくださった理事の先生方はじめ、諸先生方に心より感謝申し上げますとともに、本会のさらなる発展を祈念し、会頭としての挨拶とさせていただきます。
敬具
2025年 3月 吉日
第12回日本小児診療多職種学会in山形
会頭 竹中 佐江子
株式会社リニエR 取締役